アスリート女性の中で、“月経が原因で本来のパフォーマンスが十分に発揮できなかった”といった悔しい経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
またコンディションに影響を及ぼしてしまうことや月経やホルモンバランスの変化に悩んでいる方も少なくないと思います。
女性の体は月経周期によって、ホルモンバランスの変動があります。
JISS(国立スポーツ科学センター)で630名のトップアスリートを対象に行った調査では、“月経周期と主観的コンディションに関連がある”と回答したアスリートは91%にも及びました。“コンディションが一番良い時期”についての調査では、月経終了後数日目または月経終了直後と回答したアスリートが70%以上でした。
日々厳しい練習に取り組むアスリート女性のコンディションに影響し、悩ませている原因として月経にともなう以下のような症状があげられます。
生理中におこるさまざまな不調を総称して月経困難症といいます。
・生理痛
・頭痛
・吐き気
・下痢
・イライラ
・憂うつ
など
生理のときには、子宮の内側ではがれ落ちた子宮内膜をカラダの外に出すため、子宮を収縮させるプロスタグランジン(出産時の陣痛をおこす作用もあります)という物質が子宮内膜で作られます。これが痛みの原因とされ、生理痛やそのほか全身に作用して下痢や吐き気、頭痛などが起きます。
生理前におこるさまざまな不調をいいます。
・イライラ、怒りっぽくなる
・のぼせ
・下腹部膨満感、下腹痛
・腰痛
・頭重感、頭痛
・乳房痛
・憂うつ、気分の落ち込み
など
原因は諸説あり、まだ解明されていませんが、ホルモンバランスの変動やストレスが誘因といわれています。
1周期当たりの総経血量の正常は20~140mlとされています。そのためそれ以上の場合は過多月経となりますが、実際経血量を測定することや他の人と比較することは難しく、主観的な評価となります。
客観的な評価としては、“レバーのような血の塊が出る”、“ナプキンが1時間持たない”などがあれば過多月経である可能性が高いです。
また結果として貧血に陥っている場合が多く、アスリートにとって貧血はパフォーマンス低下の原因となるため注意が必要です。
ピルの服用はこれらの生理にかかわるさまざまな悩み全般に効果が期待できます。
近年、ピルの服用により月経対策を行うアスリートは増加傾向にあり、欧米では実に83%(2008年)ものアスリートが低用量ピルを服用しています(図)。
一方日本では、ロンドンオリンピック(2012)出場選手156名を対象に行った調査では、使用率7%と低い水準でした。しかしリオオリンピック(2016)では、出場選手164名のうち27.4%が継続的に月経対策をおこなっている結果となりました。このことから日本でも低用量ピルを用いた月経対策を行うアスリートが増えているのがわかります。
低用量ピルの服用は、月経にともなうアスリート女性のさまざまな悩みに有効です。
PMSや月経困難症の症状が改善されることで、練習を休む必要がなくなり、競技にも集中することができます。
経血量が減ることで、貧血になりにくくなります。また練習中や競技中の経血の漏れの心配が改善されます。
規則正しく月経がくるため予定日を把握でき、月経がいつ来るのかという不安がありません。また月経を試合の日とずらす、自分のコンディションが良い時期を試合の日にもってくるなど、調整することが可能です。
毎日服用する低用量ピルとは違い、PMSや生理痛の改善などの効果はありませんが、短期間の中用量ピルまたは低用量ピルの服用で月経の時期をずらすことが可能です。
現在日本で取り扱われているピルには禁止物質は含まれていないため使用できます。欧米でも8割以上のアスリートが服用し、トップアスリートが集うオリンピック選手でも問題なく使用されています。
※禁止物質は毎年改定されるため、最新の禁止表を確認するようにしてください
アスリート女性を支えられるようなサービスを目指しています。提携医師の中には日本体育協会認定スポーツドクターで東京オリンピック競技大会の水泳競技の救護ドクターとして参加経験のあるドクターもおります。丁寧なカウンセリングと事前の徹底したご説明を行っておりますので、安心してご相談ください。
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