女性は、たとえば試験や旅行といった大切なイベントがあるときに生理が来てしまわないかという心配がつきまといます。そんな不安を解消してくれるのが生理移動用ピルです。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合するピルを服用することで、生理を早める、もしくは遅らせることが可能です。
また月経困難症やPMSなど生理に関連した症状がある場合にも、生理周期をコントロールするためにピルが利用されています。
生理が始まった日から次の生理が始まるまでを1周期とし、その期間を生理周期といいます。生理周期はそのときのホルモン状態によって大きく4つにわけられます。
卵巣の中には卵子のもとになる原子卵胞があり、これが脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの作用を受けて成熟卵胞に発育します。その成熟卵胞から卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、子宮内膜が厚くなります。
卵胞ホルモンがある程度増えると、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが分泌されます。この黄体形成ホルモン濃度の急激な上昇を受けて、成熟卵胞から卵子が排出(排卵)されます。
排卵を終えた卵胞は黄体に変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この作用で子宮内膜は妊娠に適した状態になります。その後、妊娠が成立しない場合は黄体の機能は低下していきます。
黄体機能の低下により、成熟した子宮内膜を支えていた黄体ホルモン・卵胞ホルモンの量が減少し、子宮内膜は剥がれ落ち、子宮口から排出されます。
生理周期を調整することで、生理を予定より早めたり遅らせたりすることができます。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合しているピルを内服することで、疑似的に黄体期(生理前)のホルモン状態をつくることができます。
そこから服用をやめることで、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが低下し、生理を起こすことができます。
ピルは卵胞ホルモンの含有量によって大きく、超低用量ピル・低用量ピル・中用量ピル・アフターピルに分けられます。
その中で生理移動には、主に中用量ピル(プラノバール)、もしくは低用量ピルを用います。
早める場合
14日間実薬を内服→休薬→消退出血
遅らせる場合
休薬しない(プラセボ薬を内服しない)で、消退出血を延ばしたい日にちまで次のシートを飲み続ける→休薬→消退出血
早める場合
生理周期の3~5日目から、中用量ピルなら10日間、低用量ピルなら14日間内服→消退出血
遅らせる場合
1)卵胞期
月経7日目以内~遅らせたい日にちまで、中用量ピルもしくは低用量ピルを服用する→内服終了→消退出血
2)黄体期
ずらしたい生理予定の5~7日前から遅らせたい日にちまで、中用量ピルを服用する→内服終了→消退出血
早めた場合
1)メリット
生理をずらしたい期間にピルを服用する必要がなく、生理後の体調が良好なときに大切なイベントを迎えることができます。
2)デメリット
生理を遅らせる方法に比べて成功率がやや低くなることです。
遅らせた場合
1)メリット
中用量ピルを用いた場合は特に効果が高いため、医師の指示通り正しく服用することで、とても高い確率でイベント期間の生理を避けることができます。
2)デメリット
イベント中もピルを服用し続けなければならないことです。その間に副作用が出てしまう、また飲み忘れてしまった際は不正出血をおこしてしまう可能性があります。
飲み忘れにより、不正出血や希望した時期とは異なる日に生理がきてしまうことがあります。
服用が必要な期間は、毎日一定の時間に忘れずに内服してください。
吐き気や頭痛、倦怠感などがあります。特に低用量ピルに比べ、卵胞ホルモンの含有量が多い中用量ピルを使用した際は、効果が高い反面副作用も出やすい傾向があります。
個人差があり、副作用の出ない方もいますが心配な方は吐き気止めも併用することが可能です。また飲み続けることでからだが慣れて数日でおさまる場合もあります。
生理を移動させること自体にからだへの悪影響はありません。ピルによる生理も自然におこる生理も実質的には同じものです。
また生理を移動させても、次の生理に影響はなく通常通りおこります。
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